未来食堂の強気なメニューと事業計画書からビジネス発想方法を学ぼう

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未来食堂とは2017年3月時点で、飲食業の新しい姿を社会に発信し続けている注目すべき「食堂」である。「まかない」「あつらえ」「ただめし」など多くの話題を提供している一方、経営の実態は非常にしっかりとしており、優れたビジネスモデルを持っていると言えるだろう。そのことは、未来食堂のメニューやWebで公開されている事業計画書から読み解ける。

我々ビジネスパーソンにとって最も学ぶべきことは、未来食堂が一体どのようにして、優れたビジネスモデルを確立したのか?という点である。そこで、事業計画書を精査してみたところ、未来食堂がビジネスモデル構築にあたりいくつかのアナロジーを活用していることが浮かび上がってきた。ビジネス発想法の一つである「アナロジー」が重要なことは間違いないだろう。なぜなら、0から1を生み出すために何もないところから発想するのは実は非効率で、新しい発想を既存の発想の組み合わせにより生みだす方が効率的だからである。

今回は、未来食堂が活用しているアナロジーの具体例を見ながら、ビジネスにどのように生かしているかを解説していこうと思う。(アナロジーとは、類推/類比といい特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程である。かみ砕いて言うと、他の似たものの性質や体系をもって、あるものを説明しようというときに用いられる言葉である)

マスプロダクション

一昔前、モノが足りなかったときに威力を発揮したマスプロダクションという考え方がある。古くはアメリカのフォード社が自動車生産において考え出したフォード生産方式にその源流を見ることができる。製品の標準化を行い、同じ製品を流れ作業で大量に生産することにより、フォード社は高い生産効率・コスト競争力を獲得した。

メニュー種類削減によるコスト競争力強化

未来食堂は、メニュー種類の削減によりコスト競争力を強化しており、この点をアナロジーとして取り入れているのだろう。ランチメニューは日替わりの1種類のみ、夜もメインが肉 or 魚の日替わり2種類のみである。メニューが少なければ、当然仕入れる材料も絞ることができ、かつ一度にまとまった数量で購買できるので、購買単価を下げることができる。また、仕込み作業も沢山の種類を準備しなくて良いので、効率的に進めることができる。さらに、仕込みが無駄になる、いわゆるロスコストを低減することも可能だ。

そもそもメニューが1種類なのだから、仕込み量は来客数と同じで良いのでも予測も立てやすいだろう。さらに、毎日「日替わり」メニューしかないのだから、余った料理や食材は翌日に転用することさえ可能である。ランチで余ったものは夜に、夜余ったものはランチに持っていけば、大抵の客は気づかないだろう(ランチと夜同じお店に行く人はまれである)

マスカスタマイゼーション

マスカスタマイゼーションとは、企業と顧客の何らかのやり取りから顧客の個別要望を把握し、それに応えるためにカスタムメイドやオーダーメードの特徴をもった製品を、大量生産品と同程度のコストと価格で製造し、価値を生み出す戦略である。

未来食堂の「あつらえ」は、まさしくマスカスタマイゼーションの考え方をコンセプトに取り入れているのである。顧客の要望(食べたいもの)を把握し、顧客の要望にそった(カスタムされた)料理を製造・提供することにより価値を生み出しているのである。サービスの特徴としては、夜だけ限定、1品400円のコスト、副菜としてのみオーダー可能、顧客が選べる食材は2種類まで、という点が上げられる。

さて、「あつらえ」というサービスをビジネスモデルという視点で考えてみると、そこから競合他社との差別化戦略が浮かび上がってくる。

差別化戦略としての「あつらえ」

顧客の望む一点一様の料理を低価格で提供することを付加価値と定義したのである。価格もポイントで、例えばケータリングサービスの事を考えると、自分だけの料理を提供してくれるというサービスは世間一般の考えとしては高額な部類に含まれるであろう。そこを、こんなに低価格で提供しています!というのがエッジの効いたサービスとして競合他社との差別化要因となる。

「あつらえ」の価格設定が強気なワケ

「あつらえ」を低価格で提供すると言ってる割には、400円という価格設定は強気というしかない。(副菜に400円を払うのか?というアンケートを是非取ってみたいと思う)なぜ、このような強気の価格設定なのか?その理由を考えると、未来食堂としてはあまり顧客に「あつらえ」を注文して欲しくない、という答えが浮かび上がってくる。

なぜなら、未来食堂としては売上に影響を与える回転率を落とすことはしたくないはずである。「あつらえ」はその場で調理せざる負えないので提供時間が長くなり、結果として回転率は落ちることになるだろう。そんなサービスを顧客全員にお願いされては、元も子もない。そこで、強気の400円という価格設定で注文する顧客数を抑制しつつも、差別化をしていこうというのがこのサービスの本質ではないだろうか。

シェアリング

「まかない」という発想は、まさしく労働力のシェアリングである。UberやAirbnbがシェアリングサービスのプラットフォームを提供する企業として注目を集めているが、「シェアする」という発想自体は変わらない。顧客は未来食堂に50分の労働力をシェアする。その対価として、その場で食事が提供されるというのが、未来食堂というプラットフォームで行われるシェアリングである。

シェアリングのメリットは、これまで固定的に抱えてきたものをシェアすることで、モノの所持コストやサービスコストを低減する特徴がある。未来食堂は、シェアリングというコンセプトにより非常に安価なコストでスポット的に労働力を獲得できるのである。50分働いたから900円あげます、ではなく、「まかない」を提供しますという点が大事なポイントである。

「まかない」にかかる原材料費は非常に低価格である。つまり、未来食堂はシェアリングという形に「まかない」という対価提供スタイルを取り入れることで、格安の労働力を獲得していることになる!事業計画書をみると、営業利益率計画は驚愕の40%超え。900円の定食を提供する原価は、固定費等も含めて540円程度しかないのである。普通に人件費を払うよりもお手軽にかつタイムリーに労働力を得られるという点は我々も是非見習うべきではないか。

Wrap up! by パッショノン

座席数12、カウンターのみの未来食堂がいかにして集客を行い利益を上げるビジネスモデルを構築しているかを、使っているアナロジーを類推しながら簡単に解説してみました!今回、我々が学んだアナロジーはこれだ!

  • 「マスプロダクション」から製品種類の削減とコスト競争力の強化を発想
  • 「マスカスタマイゼーション」から顧客要望に応えるサービスによる差別化戦略を発想
  • 「シェアリング」から安価な労働力を獲得することを発想
未来食堂が打ち出すであろう新しいサービスやビジネスにこれからも要注目です!

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